今回のメルマガでは、イーロン・マスクが2026年に予定している火星無人飛行計画がまず取り上げられていた。人型ロボット「Optimus」を送り込み、人間が火星に行くための準備を進めるという、大風呂敷とも言える内容だが、SpaceXやTeslaの社員や投資家、ファンにとっては強力なメッセージになっている。
続いて、国家レベルのAIインフラ投資の話題。サウジアラビアは9400億ドル規模の投資ファンドを活用しAI基盤「Humane」を立ち上げ、UAEも「Stargate UAE」を計画中。OpenAI、ソフトバンク、Oracle、Nvidia、Ciscoなどが関わる巨大プロジェクトだ。EUも2000億ユーロ規模の投資を決定しており、米中以外にも大規模なAIデータセンターが出現しつつある。
筆者はこれを「AI自給率」という言葉で表現。AIが電力やインターネットのような社会インフラになりつつある今、海外依存のリスクや、日本独自の文化・価値観が失われる懸念に言及している。一方で、政府が国産LLMを完全にコントロールすることによる政治的リスクにも触れ、オープンソースLLMの微調整というバランス案を示していた。
さらに「破壊的イノベーション」の例として、著者自身が開発するMulmoCastが紹介される。PowerPointやFinal Cutに比べ機能は劣るが、圧倒的に速く動画やプレゼンを作成できるツールで、「機能の多さ」ではなく「使いやすさ・速さ」を価値とする新しいアプローチだ。
記事後半では、AIデータセンターの電力需要を支える水力発電や原発の可能性、オープンソースAIの利点、MetaとAndurilによる軍用複合現実ヘッドセット開発などが取り上げられた。
また、日経平均10万円時代が来る可能性が言及されつつ、それがインフレによる「見かけの上昇」であり、必ずしも庶民の生活が豊かになるとは限らないという警鐘も鳴らされていた。
僕が特に印象に残ったのは「ChatGPTモーメント」という言葉だ。AIチャットがそれまで「使い物にならない」と思われていた時期から、ChatGPTの登場で一気に実用化された瞬間を指す概念だが、筆者はこれを自動運転に重ねていた。
テスラのFSD(完全自動運転)は、v12以降から急速に進化し、最新のv13.2.9では「平均的な人間のドライバーを超えるレベル」に到達しているという。筆者自身、Model XからModel Yに乗り換えて毎日FSDを使い、その変化を体感していると書いていた。
この感覚を「iPhoneモーメント」にも例えていた。スマホ登場から数年でガラケーが淘汰されたように、今後自動運転車が普及し、FSDなしの車を選ぶ人が不思議に思われる時代が来るのではないか——そんな未来予測が語られている。
僕自身、ChatGPT登場の衝撃はよく覚えている。最初は「ただのチャットボット」と思っていたものが、数ヶ月後には世界中の仕事や生活に浸透した。その変化を肌で知っているからこそ、自動運転にも同じ衝撃が訪れるという指摘には説得力があった。
このメルマガを読んで、改めてAIや自動運転が「社会インフラ」に近づいている現実を実感した。特にAI自給率の話は印象的で、日本がAIを海外依存した場合のリスクと、国産化した場合の政治的リスク、その両方を冷静に描いている点が興味深い。
また、自動運転の進化を「iPhoneモーメント」に重ねる視点は、投資家としても参考になった。今後、テスラやWaymoといったプレイヤーだけでなく、AIデータセンターの電力供給や冷却技術、水力・原発といった周辺インフラ企業にも注目する必要があると思う。
MulmoCastの話も個人的には刺さった。僕自身、PowerPointや動画編集で「完成度より速さ」が求められる瞬間が多く、こうした「速いツール」が市場をひっくり返す可能性にワクワクした。
まとめ:重要キーワード
自動運転:Tesla(FSD)、Waymo(ロボタクシー)
エネルギー・データセンター:水力発電(カナダ)、原発併設型データセンター構想
次世代ツール:MulmoCast、Meta×Anduril(軍用複合現実)
このメルマガは単なるニュースではなく、「AIと自動運転が社会基盤になる未来」を描いた内容だった。投資家としては、AIインフラ・自動運転・エネルギーという3本柱を長期テーマとして追う必要があると感じた。
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